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書評「人間提督 山本五十六」

 今年の黄金週間は天気に恵まれていないですね。前半はお仕事でしたが、やっと明日から連休・・でも雨・・本でも読むか・・。

 最近読んだ本の感想などを。
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 ご存知、真珠湾奇襲戦を成功させた山本五十六元帥の評伝です。山本提督の人間的な側面を書いて、更に対米英戦争にあくまで反対して海軍次官として徹底抗戦していたにも関わらず、連合艦隊司令長官に転出後は大日本帝国は合衆国の支那撤退などの要求をあくまで拒むことに決定・・・個人の思いとは裏腹に、司令長官として合衆国との戦争の最前線に立たざるを得なくなった・・・。
 開戦後は有名な話が多いのでこれ以上は書かないが、提督が日本史上屈指の名将であるということがあらためて分かる。この人には連合艦隊司令長官などもったいなかった。出来れば首相として日本を導いてほしかった・・真珠湾が奇襲になってしまったのは当時ワシントンD.C.にいた日本の外交官の怠慢ゆえであったのだ。日本はなんともったいない人を亡くしてしまったのだろう・・と思う。

 別にこんな本も読んでみた。
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 先のイラク戦争はCIAが「イラクとビン・ラディンは協力関係にある」「大量破壊兵器がある」など誤った情報で無理やり戦争を起し、フセインは倒したものの、イラク国内はいまだに宗教テロが頻発するなど、イラクをいたずらに不安定化させてしまった。
 そのCIAが第2次世界大戦後、どのように設立され、そして的外れの工作ばかりして合衆国のみならず世界に混乱をばら撒いてきた実態をニューヨークタイムズ記者が1次資料をもとに書き綴ったものである。
 読んでいるとまあ・・・あきれ返るばかりである。と同時に腹立たしくなってきた。詳しくは実際に読んで頂きたいが、戦後の日本にも確実に彼らの工作はあったのだということがわかる。ああ、悔しい。

 とまあ2冊の本を読んでなんとなく考えたことがある。
  「アメリカ人にとって、山本五十六を殺害したことと、去年、アル・カイダ創設者ウサマ・ビン・ラディンを殺害したことは、彼らの精神上、等距離なのではないか?」ということに思い至って慄然とした。
 というのは、アメリカ人にとって真珠湾奇襲もニューヨーク貿易センタービル突入もショックなことであり、それらを画策した人間は等しく憎悪の対象であったろう、と思うのだ。

 発想の飛躍であろうか?

 だがもう一つ考えたことがある。合衆国はもともと内向きな国であり、それは今に至るも変わらない。第1次世界大戦も貨客船ルシタニア号がドイツ帝国海軍Uボートに沈められ、アメリカ人が200人以上死んでやっと参戦を決意したくらいだ。そんな国が今や世界中に戦争をばら撒く「迷惑」な国のように見られている。果たしてアメリカだけが悪かったのだろうか?

 ここでアメリカが過去やった対外戦争を振り返ってみたい。
 1846年にはじまった米墨戦争(合衆国対メキシコ)では、アラモ砦に篭るアメリカ人を殺されたことから「リメンバー・アラモ」と叫び開戦。テキサスなどを奪取。

 1898年に始まった米西戦争(合衆国対スペイン)では、合衆国海軍メイン号を爆沈させられたことから「リメンバー・メイン」を叫び開戦。カリフォルニアなどを奪取。

 1941年に始まった太平洋戦争は山本提督の真珠湾攻撃を「リメンバー・パールハーバー」と叫び開戦。大日本帝国は無条件降伏し、GHQのマッカーサー将軍の軍政を受け入れる。

 他にも朝鮮戦争やベトナム戦争、グレナダ侵攻、パナマ侵攻、湾岸戦争など沢山あるが、まあ、ここでは書きません。

 とまあこのように合衆国はどの戦争でも「報復」を旨とした戦争を行っている。世界中の他の国の戦争も似たようなものだが、合衆国はとりわけその傾向が強い。民主主義を標榜する国だから他国との戦争を合衆国市民が喜ばないから、アメリカ市民が殺されるような明確な大義名分がないと動きづらいというのが実相だろう。

 だが第2次世界大戦が終盤を迎える頃からアメリカはソビエトを強烈に意識せざるを得なかった。それが「冷戦」であるが、かつては国外での活動をやろうとしなかった合衆国が冷戦を機ににわかに世界中でスパイ活動を活発化させていく。不気味なほどに・・。
 そのきっかけに、1943年4月18日、米海軍が太平洋上で行ったある作戦があるのではないかと思う。その作戦は「山本五十六殺害」である。前線を訪問して兵士を激励していた山本提督はラバウル基地から一式陸攻に載って、ゼロ戦6機に護衛されてブーゲンビル島上空に差し掛かっていた。そこに米海軍機P38ライトニング16機(なんという戦力比!)が襲い掛かり、山本提督の乗った飛行機は落とされてしまった・・。
 これは「軍事作戦」というより「暗殺作戦」である。それだけアメリカ人は山本提督を憎むと同時に、恐れをも感じていたのだろう。生かしておいたらまた真珠湾をやるかもしれない、という恐怖を。
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 過去の合衆国の戦争ではそれがしが知る限り、暗殺をやるような国ではなかったが「ヤマモト・ミッション」で味をしめたのだろうか?以降、合衆国は恐るべき敵を「殺害」するようになっていく。

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 1967年、キューバの革命家チェ・ゲバラはボリビアで政府軍により処刑されるが、彼の逮捕と殺害にはCIAの工作員が関わっていたという。
 それ以前の朝鮮戦争では金日成に命を狙っていたというし、ベトナム戦争でも北ベトナムの指導者ホー・チ・ミンの暗殺を狙った数多い秘密作戦があったという。

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 そして記憶にも新しい2011年、ウサマ・ビン・ラディンはパキスタン国内で米海軍特殊部隊の急襲により殺害、遺骸はインド洋に葬られたという。
 成功率は高くないかもしれないが、「暗殺」を数多くやってきたのだ、ということがわかる。(皮肉なことにビン・ラディンを襲った特殊部隊の兵士の一部は作戦から2週間後、アフガニスタンでヘリを落とされて殺害されたという・・)

 国家はいつの時代、どの地域でも「暴力装置」をもつ恐るべき存在だが、合衆国はわけても恐ろしい。でも合衆国ひとつを「モンスター」視すればすむかというとそうではない。日本は彼の国の同盟国でもある。
 冷戦のプレッシャーが、スターリン率いるソビエトへの恐怖がアメリカ人に変化を起し、秘密工作をさせるようになったのではないか。また日本との悲惨な戦いが、ナチス・ドイツとの戦いが合衆国を好戦的な国に変えてしまったのかもしれない。
 そのような視点に立って全体を眺めると、「犯人探し」など軽々にできなくなる。あえていえば「戦争」そのものが憎い。「罪を憎んで人を憎まず」ともいう。そんなことをいうと平和ボケした日本人の独りよがりのような気もしないではないが、「憎悪の連鎖」こそ前ブッシュ大統領いう「悪の枢軸」ではないかと思うのだ。

 世界から戦争がなくなることはないが、日本がアメリカ合衆国の同盟国として今後どのように処していくか、ということまで考えて選挙行動をとらなければいけない。

 最後まで読んでくれた方がいたら、ありがとうの一言である。
  
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No title

自分もサムライさんと同じ事を思っておりました。
山本五十六氏は首相になっていてほしかったなと。

Re: No title

 こんばんわ。
 歴史にifは禁物ですが、日米開戦を踏みとどまり、政界に転じた山本五十六が首相になっていたらその後の世界情勢そのものが変わっていたと思います。何より合衆国が二正面作戦をしなくて済んだのですから欧州の戦争ももっと早く解決したかもしれないし、ソビエトの東ヨーロッパ制圧もなかったのではないか・・今さらの話ですがねぇ・・。
プロフィール

サムライ銅像研究会

Author:サムライ銅像研究会
歴史と銅像と芸術が大好きなあまり、日本各地を東奔西走する銅像・史蹟ハンターである。神出鬼没なため、脈絡無しのブログ更新を続ける。掟はただ一つ!「死して屍拾うものなし!」昔の時代劇の決め台詞だけどね・・皆さん、見てやあ!
 最近、キューピーに侍の装束を着用させる遊びをやっております。「武者ピー」と呼んで可愛がってやぁ~!以後は「キューピー甲冑師」とも名乗ります。

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